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折り紙用語辞典

折り紙に関する用語を50音順に並べています。まだまだ編集中ですが時々増える予定です。
掲載を希望する語句があればTwitterのDMにてご連絡いただけるとありがたいです。有益な情報をお寄せくださった方には私の作品の折り図を1本差し上げます.
2023年8月21日現在の項目数:50

あ行

赤本

神谷哲史氏による著書「神谷流創作折り紙に挑戦!(ソシム社)」のインターネット上での通称.表紙が赤いこと,現代折り紙を学ぶ上でなくてはならない知識が詰まった虎の巻的な役割を果たすことなどからこの名前で呼ばれるようになった.

悪魔

設計技法の考案者、前川淳氏が創作した折り紙作品。「ビバおりがみ」で紹介された際には多くの折り紙愛好者に衝撃を与えたと言われている。
数ある折り紙作品の中でもトップクラスの知名度を誇ることもあり、折紙探偵団コンベンションの講習の難易度の指標に用いられている(星4つが悪魔レベル)。

アヤメの基本形

伝承作品のアヤメを折るときの途中の形.カエルの基本形とも呼ばれる.

Inkscape

オープンソースで開発されているベクター画像編集ソフトウエア。IllustratorやFreeHandと同様折り図制作に用いられるが、こちらは無料なので折り図初心者からの人気が高い。 なおコンベンション折り図集等の編集を行っているおりがみはうすでは折り図制作ソフトとしてIllustratorを使用しているが、Inkscapeで作成したファイルをIllustratorで開くと 様々な不具合が発生することが報告されている。このような不具合を避けるための様々なハックが渡辺大氏主催の折り図研究会で紹介されているのではうすに折り図投稿をする人は必見。
2023/6/16追記:今確認したら折り図研のリンク切れてました。そんな…
2023/8/21追追記:Inkscapeでコンベンション折り図集に投稿するとIllustratorとの互換性の問題で採用されにくくなってきているようです.
2024/4/21追追追記:折り図研究会のリンク復活していたようです.やった~!!

インサイドアウト

紙の表裏の色の違いを使って模様や眼を折り出す手法。
うまく使えば大きな効果を発揮するが紙の使用効率が悪くなりやすい等の欠点がある。

ウェットフォールディング

吉澤彰氏が考案した、紙に水分を含ませ、柔らかくしてから加工する技法。折りあがった後に乾燥させることにより折ったままの形状を保つことができる。
繊細な曲線等を表現するのに適しているが、使う紙を選ぶといった欠点もある。

エンシェントドラゴン100匹折れるかな?

神谷哲史氏のHP「ある折り紙創作家の頁」内にかつて存在していた掲示板(現在は閉鎖されている)。その名の通り神谷哲史氏のエンシェントドラゴンを折って投稿する専用の 掲示板で、全国から腕自慢の若手が参戦し極小折り、魔改造、仕上げ改変など様々なアイデアを投入した力作がアップされた。その盛況ぶりから掲示板の閉鎖前には100匹どころか300匹を超えるエンシェントドラゴンが投稿されるなど、個人運営の掲示板としては異例の盛り上がりを見せた。

oriedita

Orihimeをベースに開発された展開図ドローソフト.Orihimeの基本機能に加え,Ctrl+Zが使えるなどの強化がなされている.

Origami Simulator

Amanda Ghassaeiらによって開発された展開図シミュレーションソフト.展開図のファイルをcsv形式かfold形式で読み込ませると折り畳みの様子をシミュレーションしてくれる.推定アルゴリズムはAmanda Ghassaei、Erik Demaine、Neil Gershenfeldらによって開発されており,論文がここで読める.

おりがみ新世代

勝田恭平氏によって立ち上げられた掲示板。なんでも板、作品発表板、一言掲示板の4つのコーナーがあり、Twitter等SNSが台頭するまでは
若手折り紙作家の情報交換の場として盛んに活動していた。お題板では毎月更新されるお題に沿って競作を行うスタイルが人気を博し、「ざぶとん小鳥の基本形」
では1か月の間に投稿件数が100件を超えるなど一大ムーブメントを巻き起こした。

折紙探偵団

日本折紙学会の前身となる団体.現在は会報誌である折紙探偵団マガジンにその名を残している.ちなみに「折紙探偵団」の名付け親は木村良寿氏である.

おりがみはうす

東京都文京区に位置する折り紙の展示場(2024年2月時点ではコロナウイルス感染対策のため展示場としての営業は停止中,折り紙本販売のみ実施).おりがみはうすのオフィスも併設されており,各種業務も行われているため見学の際はお静かに.

折り図

折り紙の折り方を記した図。吉澤彰氏によって原型が考案された当初は手描きであったが、吉野一生氏がデジタル作図を初めて行ったとされる。
折り紙界隈の根強いMacユーザーの存在は、吉野氏が使用したPCがMACであったことの影響と言われている。

折り鶴戦争

2000年前後に存在した、一連の折り鶴の魔改造競作。不切正方形1枚折りであることがほぼ唯一のルールとなっており、田中まさし氏やS太郎氏が中心となって活躍した。

Oripa

三谷純氏によって開発された展開図ドローソフト。自動折り畳み機能が付属しており、展開図の折り上がり予測図を生成することができる。
Michelie Fung氏によるAndroidアプリへの移築版と大内康治氏による改良版の開発が今も続けられている。

Orihime

目黒俊幸氏によって開発された展開図ドローソフト。Oripaに搭載されている機能に加え、様々な追加機能が搭載されているため
こちらも界隈で高い人気を持つ。折り線描画や折り畳み等の各機能について日本語と英語による使い方説明を見ることができる。
使い方説明にはイルカのアイコンがついているが、これは「お前を消す方法」でおなじみのカイル君がモデルであるとの説がある。
現在も目黒氏による開発が続けられており、最新版を含む多くのバージョンを目黒氏のHPからインストールできる。

か行

かぶせ折り

折り紙の技法の一種。カドの先を広げてひっくり返すように折る。中割り折りの逆。

紙(Kami)

折り紙に使われる最もポピュラーな素材。文房具屋さんやコンビニで入手できる折り紙用紙をはじめ、たくさんの種類がある。
英語圏ではいわゆる「折り紙用紙」のことを”Kami”と呼んでいるらしい。

カラペラピス

鉱物的な輝きを持つラッピングペーパー。一般的な折り紙用紙よりも薄いため昆虫等の複雑な作品の制作に重宝されている。
カラーラインナップはゴールド、アズライト、マラカイト、カッパーの4色で鉱物感のある名前になっている。
2019年5月に廃盤になることが決定し、一時界隈では買占め騒動が勃発した。

ぐらい折り

作品を折る際に登場する,折る角度や合わせる点などの明確な基準がない折り方のこと.仕上げの工程の折りによく登場する.コンベンションや例会でぐらい折りを多用した作品を講習すると,混乱が生じたり場が炎上したりすることがあるので講習向け作品では極力避けた方がよい.

黒本

折紙探偵団東京コンベンションの開催と同時に発行される「折紙探偵団コンベンション折り図集」の俗称.表紙が黒いのでこう呼ばれる.

小鳥の基本形

その名の通り伝承作品の小鳥を折る途中の段階に現れる形を「基本形」としたもの.この拡張である「座布団小鳥の基本形」を用いた創作が2009年頃に掲示板サイト「おりがみ新世代」で大流行した.今でもおりがみ新世代倉庫のお題板倉庫から当時の様子をうかがい知ることができる.

昆虫戦争

20世紀の終わりに発生した昆虫を題材とする折り紙作品の一連の競作を指す。西川誠司氏や川畑文昭氏、前川淳氏らが中心となり、不切正方形1枚折りの制約の下で たくさんの複雑な作品が生み出された。一連の戦争で生み出された作品の一部は「折紙図鑑 昆虫I(西川、川畑共著 おりがみはうす刊)」で見ることができる。この本の刊行時には前川氏らによる作品をまとめたIIを刊行する計画があったらしい。

コンベンション

世界各所で定期開催される国際的な折り紙イベント.日本国内では東京,静岡,名古屋,関西,九州でそれぞれ年一回(静岡と名古屋は隔年)開催される.参加者は開催される2~3日の間,折紙の講習を受講したり,参加した作家の折り紙作品の展示を見たりすることができる.

さ行

魚の基本形

伝承作品の魚を折る途中段階の形。短いカドと長いカドを2つずつ持ち、多くの作品のベースに用いられる。

沈め折り

折り紙の技法の一種。内部カドの分子の外枠に平行な折り筋をつけてまとめる。角度系作品でカドを細くするために用いられる。

ShukiKatoレベル

ShukiKato氏の作品の難易度を表すために用いられる指標.氏の作品はそのあまりの難易度の高さから一般の指標(星1を鶴程度,星4を前川氏の悪魔程度とする)が用を為さないために用いられている.

人権

日本国内で開催されるコンベンションの参加者に対し,申込順に割り振られる「講習受付順位」とよばれる番号の俗称.コンベンションではこの番号の順に希望する折り紙講習の受講権を獲得できるので,人気の講習は順位の若い人しか受けられない事態がしばしば発生する. このような事情から講習受付順位の番号の若さがそのまま「人権」と呼ばれるようになり,毎年いかに早く申し込むかの勝負になっている.

シンプレックス折り紙

kyoppy氏が考案した折り紙ゲームの一種.プレーヤーは説明者と折り手に分かれ,説明者は紙や手元を見せることなく音声(口頭)での説明のみによって折り紙作品の折り方を伝え,折り手はそれを頼りに作品を再現する.難しい.

スカイワードあさひ

愛知県尾張旭市にある施設.毎年7月下旬~9月頭にかけて折紙探偵団東海友の会が開催する展示会「創作折り紙・切り絵展」が開催される.無料の展望台があったり,太陽の黒点が観察できる望遠鏡があったりと観光スポットとしても楽しめる設備が盛りだくさん. 2階の図書コーナーにはおりがみはうすのガレージブックシリーズやコンベンション折り図集,季刊をるなどの貴重な折り紙本が(なぜか)多数収蔵されている.

創作折り紙コンテスト

毎年折紙探偵団東京コンベンションで開催される折り紙作品の人気投票.毎年JOAS賞として「干支部門」と「特別テーマ部門」,おりがみはうす賞として自由題の作品の募集がされる. JOAS賞はコンベンションの参加者による投票で,おりがみはうす賞は山口さんの判断で選ばれる.JOAS賞を3回受賞した作家は「殿堂入り」となり,以後コンテスト参加対象外となる.

た行

たてがみ折り

吉野一生氏が考案した馬のたてがみに用いられている構造。多くの作家の作風に影響を与えている吉野氏の作品の中でも大きな影響力を持つパターンと言え、 川畑文昭氏のディメトロドン(空想おりがみに収録)やペガサス、神谷氏の馬やスピノサウルスにその影響を見ることができる。元々は吉野氏もスピノサウルスを創作するために考案したパターンであることが知られている。

つまみ折り

伝承の魚の基本系などを折る際に用いられる折りの技法.折紙探偵団マガジンの情報コーナーの名前にもなっている.英語では"Rabbit Ear Fold"と言われる.

鶴の基本形

伝承作品の鶴を折る途中段階の形。この基本形を改造することで多くの作品がつくられている。
特に鶴ドラゴンはその代表格と言え、多くの作家が鶴の基本形をベースとしたドラゴン作品を生み出している。

展開図

作品を折る際についた折り筋を記録した図。この図に記された折り筋通りに折ると作品の基本形を作ることができ、作品を再現できる。はずなのだが、
実際には基本形折りたたみの後の仕上げ工程が多かったり、折り筋をつける段階で比率が分からなかったり何かと困難が多い。
上記のように展開図を基に作品を折ることを「展開図折り」と呼び、上級者の間で楽しまれている。

殿堂入り

東京コンベンションで開催される創作折り紙コンテストの特別ルール.過去に3回以上JOAS賞を受賞した作家を顕彰し,以後コンテストへの出品作品を「参考作品」として投票対象外とするものである. 第3回,4回,5回,7回のコンテストで豊村高志氏がJOAS賞を受賞し,「強すぎる」と判断されたため特別に設けられた制度らしい.殿堂入り作家は2024年時点でも豊村氏一人である. 2024年4月21日現在殿堂入りリーチがかかっているのは堀口直人,高橋志典,鶴田芳理,北西一貴の4名(敬称略).

な行

中割り折り

折り紙の技法の一種。カドの先を広げて割り込むように折る。初心者が躓きやすい折り方の一つであるため、より分かりやすい解説が求められている。

日本折紙学会

西川誠司氏、吉野一生氏、木村良寿氏が中心となって結成された折紙探偵団を前身とする日本の折り紙団体。

日本折紙協会

日本の折り紙普及を目的とする団体.折り紙情報誌「月刊おりがみ」を毎月発行している.

にらみ折り

折紙作品の画像を元に作品を再現すること.純粋に画像だけを頼りに折ることと,展開図をたたんだ後で画像を参考に仕上げをすることの2つの場合がある.前者はほぼ創作に近い.

ねじり折り

川崎敏和氏によって考案された折りのパターン.その名の通り紙の中心がねじるような形をとる.

は行

ビオトープ

折り紙に頻繁に用いられる洋紙の一種。45㎏と60㎏のものがあり、比較的薄手でクセがなく折りやすいので幅広い作品に使うことができる。

FreeHand

Macromedia(現Adobe)社が開発していた2Dのベクターイメージ編集ソフトウエア。図形の描画を得意としているため折り図制作ソフトとして重宝されていた。
現在は開発が終了しているため後続ソフトであるAdobe社のIllustratorが広く利用されている。FreeHandの方が使いやすいとの理由から現在もPCのOSを更新せずに利用を続けている人もいるらしい。

ふろしきの基本形

現在存在する折り紙作品の中で最も多く使われているであろう基本形.神谷哲史氏も自身のサイトのFAQコーナーで「一番多くつかっている」と明言している.また小松英夫氏のブログにて折り図を見ることができる.

ま行

前川フォース

折り図の手法の一つ。折り図の途中に作品の部分的な展開図を示し、「この折り線の通りに畳む」という指示を出しているものがこれにあたる。
初出は折紙探偵団コンベンション折り図集vol.3に掲載のヨーダ(川畑文昭氏)である。ちなみにこのときに用いられた記号は前川氏の似顔絵。

ミウラ折り

東京大学名誉教授、三浦公亮氏によって考案された折り畳みのパターン。ミウラ折りで折り畳まれた紙は両端を持って引くことにより簡単に開閉することが可能なため、 宇宙工学の分野においてソーラーパネルの展開等に用いられている。折り紙作品でも前川淳氏のクジャクに応用されるなど、幅広い応用を見せている。

迷路館の殺人

綾辻行人氏によるミステリー小説。大御所推理小説家の別荘に集められた新人小説家4人を連続殺人が襲うという内容の本作には作中に前川淳氏の悪魔をモチーフにした「7本指の悪魔」が登場する。 自身もミステリ愛好者である前川氏はこの作品を読むと「七本指版の悪魔」を実際に制作し、綾辻氏に贈ったらしい。

や行

4鶴

4つの鶴の基本形を正方形上に2*2の形に配置した形の基本形.4つの角カド,4つの辺カド,1つの内部カドから構成され,長いカドがたくさん出せるため昆虫などの複雑な作品に適する. 折り紙作家の西田シャトナー氏は4鶴の基本形から数多くの作品を発表しており,その技術力の高さから「4鶴の魔術師」と呼ばれている.

ら行

龍神

神谷哲史氏による折り紙作品。完成時には(おそらく現在でも)「世界で最も複雑な作品の一つ」と称され、その精巧さから100万円の値がつけられた。 192等分蛇腹、非対称構造、神谷パターン、1000枚以上ある鱗など様々な技術的要素が詰め込まれた本作は神谷氏の著書「神谷流創作折り紙に挑戦!(ソシム社刊)」でその展開図を見ることができる。 作品が複雑すぎるという理由で折り図化はされていないが、数々の猛者によって展開図折りでの再現が行われている。近年は完成者の低年齢化が進み小学生にして龍神を折り上げる人も少なくない。

わ行

Yパターン

前川淳氏によって発見された一値分子の一種。折り線構造がアルファベットのYの形に似ていることからその名がつけられたが、発見当初は二次二等辺三角形と呼ばれていたらしい。 角度系作品の展開図に極めて頻繁に登場するなど、最も多くの折り紙作品の構造に影響を与えた構造の1つと言える。

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